小学生の時だったか、
家族で川に遊びに行った。
結構流れが急で、浮き輪で遊んでたら
石で尾てい骨を打った。
結構痛かった。
兄貴と魚を探した。
流れの緩い場所に稚魚がいた。
数匹捕まえて、母に見せた。
「鮎かもしれないねぇ」
別に何も根拠は無いが、
家で育てることになった。
餌をあげていると
その稚魚はむくむく成長して、魚となった。
ただ、鮎ではなかった。
いつの間にか、俺はその雑魚を
ほっぽかすようになってしまった。
なんで生きていたと言えば、
母が餌をあげていた。
鮎じゃなかった雑魚に。
それを見た時に、罪悪感を覚えた。
自分がほっぽかしてることもそうだけど、
まさにこの雑魚は俺だ。
育ててみたら、よく分からない魚になった。
期待を込めたけど、鮎じゃなかった。
きっと途中で気付いたことがあったろう。
俺は母の料理をきれいに食べた後、
雑魚の体の独特な光沢を見ていた。